英国の中のロシア 『イースタン・プロミス』
第32回トロント国際映画祭観客賞受賞。
第80回アカデミー賞主演男優賞他にノミネート
イースタン・プロミス EASTERN PROMISES 2007年 イギリス/カナダ/アメリカ制作 100分 あらすじ: ロンドンの病院で産婦人科医をしているアンナ(ナオミ・ワッツ)のもとに、ロシア人の少女が運び込まれる。しかし、出産の直後に少女は命を落とし、日記と赤ん坊が残された。 そこに記された内容に危険を感じながらも、赤ん坊の家族を見つけ出そうとするアンナ。 彼女はあるロシアン・レストランにたどり着き、ロシアン・マフィアに雇われているミステリアスな男ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)に出会う。(シネマトゥデイ)
デヴィッド・クローネンバーグ監督作は、実はちょっと久しぶりで、
『裸のランチ』くらいまでで止まってました。
クローネンバーグと言えばユニークっていう固定観念がありましたが、
この作品はショッキングな冒頭から、フィルム・ノワールの匂いが漂う映画でしたね。
まずロンドンのロシアンマフィアについて初めて知りました。
タイトルの「イースタン・プロミス」とは、「東欧組織の人身売買契約」
いつものロンドンの雰囲気が感じられず、まさに東欧の様。
暗い社会を背景に、その中で生きる人間の葛藤や苦悩が描かれています。
オスカー候補となったヴィゴ・モーテンセンの演じるニコライは、
マフィアの運転手でありながら落ち着いた理性的な男。
少しずつ、静かに幹部へ近づいていきます。
ボスの息子キリルは、お約束のバカ息子かと思えば、意外に繊細なところもあり、
ヴァンサン・カッセルがうまく演じてました。
ハリウッドでは残念な使われ方が多い彼なので、最初はまたかと思いましたが、
彼らしい味付けになったと思います。
ナオミ・ワッツも、流産という苦い過去を持つアンナを抑えた演技で好演してました。
とうとうボスに認められたニコライは幹部の仲間入りとなりますが、果たしてその真意は?
そして彼の秘密とは?
アンナとニコライ、そしてキリルは?
生まれた子供の運命は?
派手さは無いながらもリアルな闇を描いています。
DVDが出たら、もう1度見直したい1本です。