秘められた情念 『譜めくりの女』
ピアニストにとって「譜めくり」をしてもらう人には技術だけでなく相性も重要で、
それが精神的な支えになるようです。
味方であるはずのその人が、長年自分への恨みを抱いている人だったら怖いですよね。
譜めくりの女 LA TOURNEUSE DE PAGES 2006年フランス制作 85分 あらすじ: かつてピアニストを目指す少女だったメラニー(デボラ・フランソワ)は、ピアノの実技試験中、審査員の人気ピアニスト、アリアーヌ(カトリーヌ・フロ)の無神経な態度に動揺してミスを犯し、ピアニストの夢を絶たれる。その後、アリアーヌに再会したメラニーは、演奏会の成功の鍵を握る“譜めくり”に抜てきされるが……。(シネマトゥデイ)
少女時代のメラニーの冷たい眼が印象的でした。
成長したメラニーはほとんど無表情で、時折ほほ笑む程度。
シャイで真面目な女性と思わせて、とんでもない決意を秘めてました。
交通事故から精神的に不安定になっているアリアーヌは、その強さに安心感を覚えてしまうんですね。
その事故の犯人が捕まってないというのも、なんだか不気味。
アリアーヌの生活と彼女自身の中に、少しづつ入り込んでいくメラニー。
アリアーヌに彼女なしではとまで思わせます。
信頼させて裏切る、復讐の常とう手段ですが、
静かに着実に巧妙にアリアーヌを追い詰めていくメラニーが恐ろしいです。
派手さもどんでん返しもなく、ただ追い詰める女と追い詰められる女の話
シンプルなだけに、この時をじっと待っていたメラニーが一層不気味でした。
追い詰められるアリアーヌに『地上5センチの恋心』のカトリーヌ・フロ
追い詰めるメラニーに『ある子供』のデボラ・フランソワ
じわじわくる心理ドラマでした。