『HUNGER/ハンガー』 スティーヴ・マックィーン監督作を塗りつぶせ!
『それでも夜は明ける』がこちらでは5月10日から公開予定。
それまでにスティーヴ・マックィーン監督の過去作を観ておこうかと(^_^;)
アカデミー賞受賞監督作という事で、今まで未公開だった本作
『HUNGER/ハンガー』を期間限定で上映する劇場もあるようです。
HUNGER
2008年イギリス/アイルランド 96分
あらすじ:1981年、北アイルランドのメイズ刑務所には、サッチャー首相により弾圧され、政治犯としての権利を奪われたIRAの囚人たちが収監されていた。ボビー・サンズを中心とした彼らは、自らの信念を貫くため、様々な抵抗を重ねたが、看守たちはそれを暴力で制圧していた。あらゆる手を尽くしても変わらない惨状に、サンズは、最後の手段として暴力に依らない抗議活動、ハンガー・ストライキの実行を決意する。 (GAGAシアターより)
これも実話の映画化ですね。
ボビー他9名が死亡。
この事件は当時のイギリスに大きな衝撃を与え、マックィーン監督の記憶によれば、
痩せ衰えていくボビーの姿が、毎日TVで放送されていたそう。
11歳の少年だった監督の脳裏にしっかり刻み込まれ、この映画へと繋がりました。
映画には出てきませんが、ハンスト中に選挙に出たボビーは英国下院議員に、
他のメンバー二人はアイルランド議会議員に選出され、
ボビー・サンズの葬儀には合計10万人もの人々が参列したそうです。
キャストはアイルランド系俳優で固めていて、
ボビー・サンズ役のマイケル・ファスベンダーとモーラン神父役のリアム・カニンガム
以外はわかりませんが、中盤のこの2人の会話シーン以外ほとんどセリフなし。
そのうえ冒頭30分はファスベンダーも出てこないので、
最初しばらくは戸惑いました(^_^;)
ブランケット・プロテスト(衣服の洗浄を拒否して全裸に不潔な毛布をかぶる抗議活動)や、
ダーティー・プロテスト(監獄に垂れ流した糞尿と食物を壁や床になすりつける抗議活動)のシーンに
ヒイィィ!!(゜ロ゜ノ)ノ (映像的にはそれほどグロくないです^^;)
そして痩せ細っていくファスベンダーに、ひえー!(◎0◎)
痩せ細ったクリスチャン・ベールを見るのが怖くて『マシニスト』観れなかったのに~(>_<)
と、いろいろ衝撃的なシーンはあるのですが、
ほとんどセリフが無い中で推測しながら観なければならないのと、
映像の美しさで不思議と客観的に落ち着いて観る事が出来ました。
淡々としているようでセリフがなくても理解できる雄弁さ、不思議な感覚でしたね。
ボビーが神父に語る言葉から、
彼が本当に目指したのは、権利を取り戻し国民的英雄となることではなく、
少年の頃の自分に戻ることだったのかな~という気がしました。