『あなたを抱きしめる日まで』離ればなれになった母と息子の想いに(´Д⊂ヽ


ファーストデーに、遅れて公開の『あなたを抱きしめる日まで』を観ました。
相変わらずこういう邦題好きですよね(; ・`д・´)

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PHILOMENA 2013年仏/英 98分

あらすじ:イギリスに暮らす敬虔な主婦フィロミナ。ある日、彼女は娘のジェーンにある秘密を打ち明ける。50年前のアイルランド。10代で未婚のまま妊娠したフィロミナは、家を追い出され修道院に入れられる。そして男の子アンソニーを出産したフィロミナだったが、彼が3歳になると無理やり養子に出されてしまう。以来、片時もアンソニーのことを忘れたことはない。年老いた彼女は、どうしてもひと目我が子に会いたいとの思いが高まっていた。それを聞いたジェーンは落ち目の元エリート記者マーティンに話を持ちかける。マーティンはジャーナリストとしての再起を期してこの話を受けることに。こうして、信心深くて平凡な田舎の主婦フィロミナと無神論者でインテリ紳士のマーティン、という対照的な2人によるアンソニー捜しの旅が始まるのだったが…。(allcinemaより)


こちらも実話ベース。18歳で未婚の母となり、幼い息子と強制的に引き離されてしまった女性フィロミナ・リーの奇跡の実話を基に描くヒューマン・ドラマ。
アカデミー賞4部門ノミネート他多くの映画賞でもノミネートや脚本賞受賞。

私は未見ですが『マグダレンの祈り』という映画で取り上げられた様なカトリック修道院で、婚外交渉によって妊娠してしまった女性たちを厳しい条件で収容し、生まれた子供を取り上げ里子に出す。そのようにして引き離された子供を探す話ですが、社会派ドラマではなく、独りの女性の話となっています。

フィロミナにジュディ・デンチ。今まで観た彼女の役柄は007Mの様に凛とした役が多くて、田舎のおばちゃんの役を観るのは初めて。ホテルの従業員が親切だと感激し、ハーレクインロマンスを傑作と語る様子はとても微笑ましいです。
フィロミナの話を聞き、一緒に息子を捜すマーティンに脚本を手がけ、製作にも名を連ねているスティーヴ・クーガン。元々はコメディアンの彼がこんなに良い役者だったとは知りませんでした。監督は『クィーン』のスティーヴン・フリアーズ

たまたまマーティンが出席したパーティの手伝いに来ていたフィロミナの娘が話しかけた事により、一緒に探す旅に出る事になったマーティン。彼が調度無職になり、次の仕事を探していたからこそ引き受けたという縁を感じる話です。
マーティンが仕事をクビになった経緯とか、フィロミナの結婚や娘の誕生、50年後に秘密を打ち明けられた娘の気持ちなどに寄り道することなく、ひたすら息子探しの過程が描かれています。その過程がかなりドラマティック。
どんなに酷い目にあっても神を信じ続けるフィロミナに、最初は馬鹿にしていたマーティンも影響を受ける様になります。邦題とは全く違う展開ですが、信仰心と心の持ち方について考えさせられます。
許すフィロミナに対して許さないというマーティン。私も彼に同意です。カトリックの教えとは許すことだと思っているので、修道院のやり方には怒りを禁じ得ません。
いろいろ欲を出さずにシンプルに息子探しにフォーカスした脚本が、感動を深めて良かったと思います。