『大統領の陰謀』『グッドナイト&グッドラック』『ブッシュ』


台風でビアガーデンも流れてしまい、録画消化中!
実在の人物を描いた3本、まずは報道系2本から。

大統領の陰謀

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ALL THE PRESIDENT'S MEN 1976年 138分

あらすじ:ある夜、ウォーターゲート・ビルに侵入した四人の窃盗犯が現行犯逮捕された。単なる強盗と思われたこの事件だが、ワシントン・ポストの記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインは数々の疑念、妨害を乗り越え調査を進めていく。そして、これがのちに合衆国大統領ニクソンを失脚させる一大スキャンダルへと発展していくのだった…。(Amazonより)


今更な感じの、アカデミー賞4部門受賞の名作。
ウォーターゲート事件の真相を突き止め、ニクソン大統領を失脚にまで到らしめた二人の新聞記者カール・バーンスタインボブ・ウッドワードの活躍を描いた実話の映画化。ポリティカル・サスペンスの名匠アラン・J・パクラ監督作。

ワシントンポスト紙の若手記者カール・バーンスタインダスティンン・ホフマンボブ・ウッドワードロバート・レッドフォードが演じています。
ひたすら情報収集を重ね、そこから導きだされる推理を確認するため相手にかまをかけたり、しつこく迫ったり、事件の真相を突き止めるためにあの手この手で攻めていく若い記者2人、それを社をあげて応援するデスク役のジェイソン・ロバーズが頼もしく、助演男優賞も受賞。

1972年のウォーターゲートビル侵入事件から1974年のニクソン大統領辞任に至るまでのウォーターゲート事件、辞任から映画化まで2年というスピードで、どれだけの大事件だったのかが分かりますね。
この事件を追う過程がスリリングで、最後まで緊張感があります。
全体的に不正を見過ごせないという正義感を感じ、疑惑を持っても殺される訳でもなく、ある意味良い時代の映画ですね。
ラストでTVからニクソン大統領の就任演説が聞こえる中、ひたすら2人のタイプライターの音が聞こえ、事件の結末はクレジットで出るのみ。エンドクレジットの冒頭の無音が、ラストのタイプライターの音を脳内で余韻とする仕掛けも素晴らしい。



グッドナイト&グッドラック

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GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK  2005年 93分

あらすじ:1953年、米ソの冷戦が激しさを増す中、アメリカ国内ではマッカーシー上院議員を旗頭に、国内の共産主義者の徹底した排除活動が行なわれていた。その標的は、いまや政府に少しでも楯突く者すべてに及んでいた。一般の市民はおろか、マスコミさえもが恐怖の前に沈黙してしまう。そんな中、CBSの人気キャスター、エド・マローとプロデューサーのフレッド・フレンドリーは、番組内でマッカーシーの欺瞞を暴き、彼こそが自由の敵であると訴える内容の放送に踏み切るのだった。そして、その反響は概ね好意的に受け取られる。これに対し、マッカーシー側もCBSへ反論と圧力を掛けてくるのだが…。(allcinemaより)


モノクロ画面にジャズの音楽といえば、クリント・イーストウッド監督を連想しますが、ジョージ・クルー二ー監督作、2作目。アカデミー賞6部門ノミネート。

赤狩りマッカーシズム)”の猛威が吹き荒れた1950年代を舞台に、危機に瀕した自由を守るため、時の権力に敢然と立ち向かった実在の国民的ニュースキャスター、エド・マローCBSの番組スタッフたちの姿を描いたノンフィクションドラマ。

エド・マローデヴィッド・ストラザーンジョージ・クルーニーロバート・ダウニー・Jrパトリシア・クラークソンジェフ・ダニエルズフランク・ランジェラ、あとローラ・パーマーの父親のイメージが私の中で固定化しているレイ・ワイズ

赤狩りを進めるマッカーシー上院議員を糾弾するエド・マローの姿をとおして、報道の意義と視聴率獲得の狭間で揺れているTV業界の内幕も描いています。エド・マローの伝記的でありながら時代の空気を描いている社会派ドラマでもありますね。
ジョージ・クルーニー自身の信念もマローに重ね合わせているのかも。



ブッシュ

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W.  2008年 130分

あらすじ:多くの政治家を輩出してきたアメリカの名門ブッシュ家。“W”(ダブヤ)ことジョージ・W・ブッシュも、後に第41代大統領となるジョージ・H・W・ブッシュの長男として重い期待を背負っていた。しかし、偉大な父親の影に早々に押しつぶされていく。父と同じ名門エール大学には入ったものの、在学中も卒業後も厄介事ばかりを引き起こし、いつしか家名を汚す不肖の息子となり果て、父の期待は弟ジェブにばかり向けられるようになる。それでも、1977年にようやく“家業”の政治家を目指す決意を固めたW。同年、生涯の伴侶となる図書館司書のローラとの出会いも果たす。その後、88年の大統領選を目指す父の選挙戦を手伝うことになったWはその勝利に貢献するが、父の背中はますます遠ざかり、自分の存在はますます小さくなっていくと落胆する。そんなひがみ根性が募る中、Wは“お前が大統領になるのだ”と神の啓示を聞いてしまい…。(allcinemaより)


久しぶりのオリバー・ストーン監督作。
この映画はなんなんでしょうね~、批判なのかコメディなのか。
日本公開時のキャッチコピー「世界でいちばん有名な大統領は、世界でいちばん寂しい人でした」っていうのもなぁ~(;-_-) =3 フゥ

ブッシュ元大統領の青年期から、知事就任、大統領就任、イラク侵攻までが、時系列はランダムで描かれます。その中で特に父親に対する思いが中心となっています。

この映画の一番の見所はキャストだと思うんですけど、みんな凄く似てます。
子ブッシュジョシュ・ブローリン、父ブッシュにジェームズ・クロムウェル、ローラ夫人にエリザベス・バンクス、バーバラ夫人にエレン・バースティン
チェイニー副大統領にリチャード・ドレイファスパウエル国務長官にジェフリー・ライト、ライス補佐官にタンディ・ニュートンラムズフェルド国防長官にスコット・グレン、ブレア首相にヨアン・グリフィズ、次席補佐官にトビー・ジョーンズ

決してつまらない訳ではないんですが、なぜ彼が大統領に成れたのか、人間的にもまったく魅力も感じられないし、さっぱり分かりません。そんな描き方です。
彼の父に対する思いがイラク侵攻へ結びついたくだりも、そういう風に描いてしまっては身も蓋もないだろうと。どこかから苦情来なかったんだろうか。オリバー・ストーンだから許されたのか。なんだか見ていて最後には哀れになってきました(;´Д`)