『ビッグ・アイズ』 面白い実話ものだけど、ちょっと物足りない
あらすじ:1958年。離婚を決意したマーガレットは、幼い娘ジェーンを連れて家を飛び出す。女手一つで娘を育てるため、サンフランシスコのノースビーチで似顔絵描きを始めたマーガレット。彼女はそこで口が上手く社交的な男性ウォルター・キーンと出会い、結婚する。ある日、マーガレットの描く瞳の大きな子どもの絵が、ひょんなことから世間の注目を集めるようになる。するとウォルターは、その“ビッグ・アイズ”を自分の絵と偽り売りまくる。それを知り抗議するマーガレットだったが、口八丁手八丁のウォルターにまんまと言いくるめられてしまう。以来、世間にもてはやされるウォルターの陰で、黙々と絵を描き続けるマーガレットだったが…。(allcinemaより)
大きな眼の女の子の絵、通称“ビッグ・アイズ”を巡る画家夫婦の驚きの実話の映画化。
”ビッグ・アイズ”の絵も知らなければ、キーン夫妻のスキャンダルも知りませんでした。
エンドクレジットで、ウォルターとマーガレットのその後のクレジットもありますが、マーガレットはまだ存命なんですね。
マーガレットの作風は大きな眼が印象的な女の子の絵。通称”ビッグ・アイズ”として有名になった絵は夫ウォルター・キーンが描いたことになり、売られ評判になった経緯と夫婦のその後が描かれています。
マーガレットにエイミー・アダムス、ウォルターにクリストフ・ヴァルツ、2人とも第72回ゴールデン・グローブのコメディ/ミュージカル部門の男優賞と女優賞にノミネートされ、エイミーが受賞。
他にダニー・ヒューストン、ジェイソン・シュワルツマン、テレンス・スタンプなど。
監督は、実話の映画化は『エド・ウッド』以来20年ぶりのティム・バートン。
娘からすぐ妻になりすぐ母となったというマーガレットが、最初の夫から逃げ出したにも関わらず、すぐウォルターにコロッと騙されるほど世間知らずであったことや、当時の風潮として女性の立場が弱く、教会でさえ夫に盲目的に従えてなことをいう時代出会ったことから、こういう状況が生まれてしまったのはよくわかりました。
ウォルターの嘘の略歴なんて、調べればすぐ分かりそうなもんだけれど、誰も調べようと思わないくらい口八丁だったんですね。確かに商才はあったんだろうと思います。
ストーリーは間違いなく興味深く、芸達者な主演2人の演技は良いのですが、どうもクリストフ・ヴァルツがやり過ぎな気がして(;´Д`) 巧い人なのでもう少しリアルにすることも出来たはずなので演出なのでしょうが、胡散臭過ぎるというか、前半はそれほど感じませんが後半は極端で、裁判シーンなんかは面白くもあるのですが、テレンス・スタンプに食って掛かるシーンでは作り過ぎに感じました。
ウォルターがアイデアでドンドン成り上がっていく過程は面白かったのですが、本当は画家になりたかったというウォルターのマーガレットに対する気持ちや、マーガレットの心の揺れや彼女にとっての娘の存在などが見えにくく、最後は一件落着のはずなのに、観終わった後物足りない感が残ります。
どこまでが事実でどこまでが誇張なのかわかりませんが、誇張しなくても十分な題材なので、内面にもっと迫ってくれると良かったかな。