『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』 天晴!


1週間前にシネマイクスピアリで観た
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
テーマ曲と共に頭の中で反芻していました。

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THE IMITATION GAME 2014年英/米 115分

あらすじ:1939年。ドイツ軍と戦う連合軍にとって、敵の暗号機“エニグマ”の解読は勝利のために欠かせない最重要課題だった。しかしエニグマは、天文学的な組み合わせパターンを有しており、解読は事実上不可能といわれる史上最強の暗号機だった。そんな中、イギリスではMI6のもとにチェスのチャンピオンをはじめ様々な分野の精鋭が集められ、解読チームが組織される。その中に天才数学者アラン・チューリングの姿もあった。しかし彼は、共同作業に加わろうとせず、勝手に奇妙なマシンを作り始めてしまう。次第に孤立を深めていくチューリングだったが、クロスワードパズルの天才ジョーンがチームに加わると、彼女がチューリングの良き理解者となり、周囲との溝を埋めていく。やがて解読チームはまとまりを見せ始め、エニグマ解読まであと一歩のところまで迫っていくチューリングだったが…。(allcinemaより)


イギリスの数学者であり、第二次大戦時にドイツ軍の暗号機“エニグマ”の解読に成功し、コンピュータの前身となるチューリングマシンを発明したアラン・チューリングの伝記的映画であり、彼の偉業だけでなく心の葛藤も描いています。

まあ正直なところ、ベネディクト・カンバーバッチアラン・チューリングを演じると聞いても、名前を聞いたことがある程度の知識しか無く(・・A;)あせあせ
エニグマを解読した人と聞いても、まったくピンときませんでした( ̄∀ ̄*)イヒッ
そんな私でもこの映画を観ると、チューリングが達成した偉業がどれほどであったのかが分かり、また彼の孤独や苦しみが伝わってきました。

そのアラン・チューリングを演じたベネディクト・カンバーバッチ、ホーキング、ゴッホ、ホームズなど変わり者の天才を数々演じているので、また同じ様な役かと思われる方も居るでしょうが、一つとして同じ様に感じる役は無く、今回のチューリングはとても繊細で、無垢とも言えるくらい純粋にひたすらマシンに情熱を注いでいる姿、もうこの人のファンであることが誇らしい天晴な演技でした。
チューリングの2番目の理解者であるジョーン・クラークにキーラ・ナイトレイ、女性に厳しい時代に、自分らしい生き方を求める賢くて強い女性役はピッタリ。
エニグマ解読メンバーのヒュー・アレグザンダーに『シングルマン』のマシュー・グード、ジョン・ケアンクロスに「ダウントン・アビー」シリーズのアラン・リー、ピーター・ヒルトンにマシュー・ビアード、MI6のミンギスにマーク・ストロング、デニストン中佐にチャールズ・ダンス、ノック刑事に007シリーズでタナー役のローリー・キニアなど。
脚本はアカデミー脚本賞受賞の素晴らしいスピーチが記憶に新しいグレアム・ムーア
監督はノルウェーモルテン・ティルドゥム

とても余韻が残る良い映画ですよ!
チューリングのドラマを通して、暗号が解読出来るのかというドキドキもあり、解読したところで終わってしまうのではなく、その先にまた驚きのドラマが有り、まさに歴史の一面がわかる面白さは、流石の脚本の上手さですね。
と共に、最近まで認められることのなかったチューリングの内面を深く描いています。演じるベネディクト・カンバーバッチの繊細な演技。もちろん他のキャストも素晴らしく、パームスプリングス国際映画祭では、ベストアンサンブル演技賞を受賞。
チューリングアスペルガー症候群だったのではと言われていて、冒頭では鼻持ちならないくらい傲慢。文章で書くとまるでシャーロックなのですが、まったく違うんですよ。次第に傲慢さは純粋さの裏返しでなのが分かってきます。チューリングの孤独の深さ。刑事との会話では、自分の生涯を悟っているかの様な、人生を諦めている様な静けさ。地位も名誉もお金も求めず、ひたすら初恋の人の名前を付けたマシンとの時間に費やしているのが切なく、彼の天才的な才能を結果的につぶしてしまった当時の悪法に悲しくなります。
ラストの焚き火を皆で囲むシーンがとても美しく、また一層切なくなりました。

とても良い映画だと思うので、ぜひぜひぜひ劇場へ!
私も5月にまた観るぞ~!