『リリーのすべて』 全てを受け入れる強さ


遅れて公開の『リリーのすべて』仕事後レディスデーに観ました。

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THE DANISH GIRL 2015年英/独/米 120分

あらすじ:
1926年、デンマークコペンハーゲン。風景画家のアイナー・ヴェイナーは結婚して6年目になる肖像画家の妻ゲルダと仲睦まじい日々を送っていた。ある日、ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を引き受けたのがきっかけとなり、自分の中に潜んでいた女性の存在を自覚するようになる。最初は遊びのつもりでアイナーに女装をさせ、“リリー”として外に連れ出し楽しんでいたゲルダも、次第にアイナーが本気だと気づき激しく動揺するが…。(allcinemaより)


世界で初めて性別適合手術を受けたデンマーク人、リリー・エルベの実話を基にしています。史実どおりというわけではなく結末など脚色はしてあるようです。

風景画家として成功し、愛する妻との生活に何の不満もなかったアイナー。あるきっかけから自分の本質は女性であると気づいてしまいます。夫を愛しているゲルダは驚きながらもアイナーの気持ちを尊重しようとしますが、そうすると彼女の夫は消えてしまうことに。

以前見た『わたしはロランス』と状況は似ているのですが、時代も内容も全く違います。90年代のロランスも社会からは受け入れられていないながらも強制入院させられるようなことはありませんが、20年代には性同一性障害という認識があるはずもなく精神病のような扱い。しかし映画はそこを強調するのではなく、愛の物語となっています。

アイナーにエディ・レッドメイン、もう後半はリリーにしか見えずエディはどこにもいませんでした。もともと、エディの華奢なルックスと意外に野太い声にギャップがあったのですが、その点も気になりませんでした。主演男優賞は逃しましたが改めて凄い俳優だな~と思いましたね。
ゲルダアリシア・ヴィキャンダー、自分一応女なので、ゲルダに感情移入してしまいましたね~(^_^;) 愛する夫を失ってしまうという葛藤に苦しみながらもアイナーを応援する彼女に泣かされます(T ^ T) 見事助演女優賞受賞。
ベン・ウィショーも私の中では声とルックスにギャップがある人なのですが、良い声です。前半のセクシーな彼も初めて見ました。
ハンス役のマーティアス・スーナールツプーチンに似てると評判だったのがやっとわかりました( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
他、セバスチャン・コッホアンバー・ハードなど。
監督は『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー

アイナーがリリーとして生きるために社会と戦うという話ではなく、アイナーとゲルダ、それぞれが相手のことを愛していて、愛しているから葛藤があり苦しむという愛情の物語となっているため見やすかったですね。
アイナーはリリーに気づいてから、もうリリーとしてしか生きられないのだけれど、ゲルダのためにアイナーで居ようと努力し、ゲルダもアイナーのためにリリーになる助けをするけれど、夫を失う寂しさで押しつぶされそうに。
ゲルダがアイナーと自分は似ていると言っていましたが、まさにそんな2人。
デンマークの美しい風景と共に、切ないけど美しいお話でした。