『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』 老いに苦しみ孤独を恐れる


遅れて公開の『Mr.ホームズ 名探偵最後の事件』を観ました!

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MR. HOLMES 2015年英 104分

あらすじ:
海辺の家でミツバチの世話をしながら穏やかな隠居生活を送る93歳のシャーロック・ホームズ。しかし彼には一つだけ心残りがあった。それは30年前、記録係のワトスンが去った直後の出来事。ある男の依頼を受け、彼の妻の素行調査を開始したホームズは、そこで人生最大の失態を犯して引退に追い込まれたのだった。やがてホームズは、この唯一の未解決事件の謎を解くべく、探偵に憧れる家政婦の10歳の息子ロジャーを助手に迎え、再び捜査に乗り出すが…。(allcinemaより)


原作はミッチ・カリンによる同名小説、シャーロック・ホームズのバスティーシュの映画化。もちろん聖典ではありません。

頭脳明晰のシャーロック・ホームズも93歳ともなると、老いによる記憶力の低下に苦しんでいるという設定がユニーク。笑い事ではないんですけどね(^_^;)
引退して養蜂をしているホームズは、記憶を取り戻すのに効くと聞きロイヤルゼリーを試し、山椒を求め日本にまで旅行をします。彼がそこまでして取り戻したい記憶とは。

シャーロック・ホームズサー・イアン・マッケラン、60歳と93歳のホームズを演じ分けます。
家政婦のマンロー夫人にローラ・リニー、最初は誰かと思いました( ̄∀ ̄*)イヒッ
息子のロジャーにマイロ・パーカー、可愛いです♪
梅崎役で真田広之、医師役でロジャー・アラム、劇中映画のホームズ役に『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』のニコラス・ロウ、懐かしい。
監督は『ゴッド・アンド・モンスター』のビル・コンドン

老いて記憶が曖昧とはいえホームズはホームズ。日常生活でも観察し推理するシーンが自然な流れで挟まれているのが上手いですね。
ホームズが思い出そうとする事件、どんな内容だったのか、なぜそれほどまでに思い出したいのかが鍵となっています。家政婦の息子ロジャーがかつてのワトソンのようにホームズを刺激し、少しづつ思い出す過程がスリリング。
またロジャー少年によって生活にハリが出てくるホームズ、聖典でもよく少年を手足に使っていたのを思い出します。
自分がしてしまった過ちを思い出し、自分も周囲も孤独に苦しんでいることに気づき一歩踏み出すラストに安心します。
梅崎に宛てた手紙は、思い出したのではなく、彼の気持ちを安らかにするためにホームズが創作したのかな~と思いました。