『ムーンライト』 過酷な人生の中の月明かり


先週末から遅れて公開の『ムーンライト』、映画の日に観ました。

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MOONLIGHT  2016年 111分

あらすじ:
内気な少年シャロンは、母ポーラと2人暮らしだったが、ポーラは麻薬中毒でほとんど育児放棄状態。学校ではリトルとあだ名され、いつもいじめられていた。シャロンにとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友だちだった。そんなある日、いじめられているところをフアンという男に助けられる。以来、フアンとその恋人テレサに我が子のように目をかけてもらい、初めて人の温もりを感じるシャロン。高校生になっても、相変わらずいじめは続いていた。そんな中、唯一の友ケヴィンに対して友情以上の感情を抱き始めていたシャロンだったが…。(allcinemaより)


第89回アカデミー賞8部門ノミネート、作品賞・助演男優賞・脚色賞受賞作品。
タレル・アルヴィン・マクレイニーの "In Moonlight Black Boys Look Blue" を、監督のバリー・ジェンキンスとの共作で脚本を執筆。
ジェンキンス監督とマクレイニーは同時期、フロリダ州マイアミのリバティ・シティという、住民の9割以上がアフリカ系という町で育ち、双方とも母親が薬物依存だったという経歴が脚本に反映されている。
ブラッド・ピットのプランBエンターテイメント制作。

1.リトル、2.シャイロン、3.ブラックの3つのパートからなり、シャイロンの少年期(9歳)、青年期(16歳)、成人期(26歳)を、3人の役者がそれぞれ演じます。
↑上のポスター3人の顔で1つになっているんですね。今気づきました。(^-^;

シャイロンにアレックス・ヒバートアシュトン・サンダーズトレヴァンテ・ローズ
ケヴィンにジェイデン・パイナージャレル・ジェロームアンドレホランド
シャイロンの母ポーラにナオミ・ハリス助演女優賞ノミネート。
シャイロンの父親がわりとなるファンにマハーシャラ・アリ助演男優賞受賞。
テレサジェネール・モネイ、他。

昨年作品賞を受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』は、とてもアカデミー賞らしい作品だと思いましたが、正直この映画はちょっと意外でしたね。
イジメ、ネグレクト、麻薬、貧困に人種差別、LGBTなどの社会問題が描かれているけれど、とても個人的で純粋な愛の話だったので。
甘えられる人が居なかったので甘え方を知らない、頼れる人が居なかったので頼り方を知らない、愛されなかったので愛し方を知らないシャイロンの孤独や疎外感が強く伝わってくる1章から、シャイロンがどうなるのかハラハラしながら観ていました。同時に、唯一心を許せるケヴィンに対する気持ちが、フィルムをカラーリングなど加工したという美しい映像と重なり、切なさで満たされます。
やっと彼の居場所が見つかったのかと期待してしまうラスト。
説明が少ない寡黙な映画で、観客の気持ちに委ねられる作品でした。