ポール・ハギス版 『クラッシュ』

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   クラッシュ  CRASH  2004年 112分

あらすじ: クリスマス間近のロサンゼルス。黒人刑事のグラハム(ドン・チードル)は、相棒であり恋人でもあるスペイン系のリア(ジェニファー・エスポジト)と追突事故に巻き込まれる。彼は偶然事故現場近くで発見された黒人男性の死体に引き付けられる……。(シネマトゥデイ

「触れ合いだよ。街中を歩けば、人と体が触れたり、ぶつかったりする。でもロスじゃ、触れ合いは皆無。人々は金属やガラスの後ろに隠れている。みんな触れ合いたいのさ。衝突し合い、何かを実感したいんだ」


クローネンバーグの『クラッシュ』は見ていることを思い出したので、

と言っても、冒頭の事故の直後、ホリー・ハンターが胸を見せるところくらいしか覚えてないんですけど(^。^;;

見そびれていたポール・ハギス版を借りました。


旅行者として訪れるアメリカでは、これほどまでに見えることのなかった人種差別。

白人・黒人・ラテン系・アジア系・アフリカ系・ヒスパニック系・アラブ系

白人だから優位というわけではなく、逆に他人種から差別されるわけで、

やられたらやり返す、やられる前にやる

そんな不安や恐怖から銃を持ち、負の連鎖が続きます。


意味のない差別や偏見、自意識過剰なほどの被害者意識、

嫌がらせ、憤りなどの負の感情に、前半は気分が悪くなりましたが、

人種を超えて触れ合い、差別や偏見がなくなった瞬間に来る感動。

マット・ディロン演じる差別主義者の刑事ライアンが黒人のクリスティを助けた瞬間

前夜にライアンから嫌がらせを受けていた彼女がライアンを受け入れた瞬間

彼等に救われた気分になりました。

 
逆に、差別を忌み嫌っていたライアン・フィリップ演じるハンセン巡査は、

自分の中にも差別や偏見があったことを最悪の形で思い知ることに。


そして、前述のセリフを語ったドン・チードル演じるグラハム刑事は、

全編を通してその差別や偏見に翻弄されます。


他にもペルシャ人店主とヒスパニック系の鍵修理工のエピソード

TVプロデューサー、テレンス・ハワードの演技

群像劇としても素晴らしいと思います。