夫婦の絆を失った時 『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』

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雪深いカナダでのとても静かな話です。

  アウェイ・フロム・ハー 君を想う AWAY FROM HER  2006年 カナダ制作 110分

あらすじ: 結婚して44年になるグラント(ゴードン・ピンセント)とフィオーナ(ジュリー・クリスティ)の夫婦は、お互いを深く愛し、満ち足りた生活を送っていた。しかしある日、アルツハイマー認知症の影がフィオーナの身に忍び寄る。物忘れが激しくなり、挙動に支障をきたしてきた妻を、グラントは辛抱強く見守るが……。(シネマトゥデイ


同情はしましたが他人事な感じだったのに、最近はそうも思えなくなってきました(^_^;)

この映画を見始めてすぐは、残された者の大変さや辛さを思うと、

自分がアルツハイマーになったら初期の間にさっさと死んじゃいたいと(-_-;)

知っていたことがわからなくなる恐怖には耐えられないだろうと思いました。

映画の中の妻も同じように思ったのでしょうか?

アルツハイマーになったことがわかると、自分から施設に入ることを決意します。

その施設では、入所して1か月間は面会禁止の規則があり、

1ヶ月後妻に面会に訪れた夫は、

彼女自身のことも夫のことも忘れ、別の男性にせっせと尽くす妻の姿を見ます。


最初、この1ヶ月間面会禁止の規則は、施設が患者を扱いやすくするためかと思いましたが。

患者たちの心の平安を取り戻すためでもありました。

物事を思い出せないことから不安や動揺が起こるのを防ぐのです。

またそれは、決して快方には向かわないことを認めることでもあります。

第2の人生を見つけたかのような妻に、戸惑うのは夫の方でした。

妻を取り戻したいと思う夫。

最後には、それが自分のエゴであることを悟ります。


妻役のジュリー・クリスティは、オスカーの常連ですよね。とても綺麗です。

夫役のゴードン・ピンセントは今まであまり印象がないのですが、苦悩する夫の気持ちがよくわかりました。

オリンピア・デュカキスも変わらないですね~。


最後には妻の幸せだけを考える夫に心打たれます。

夫の気持ちが通じたかのようなラスト。

しかし、それも長くは続かないだろうなとわかっているだけに切ないです。

記憶をなくすことが本当に不幸なのか?

そんなことも考えてしまう映画でした。