不器用な主人公たち 『ジェリーフィッシュ』

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愛されたいのに、口では言えない。

幸せなのに、笑顔が苦手。

そんな人々が海辺の街で出会う、心がやわらかくなる物語。

ジェリーフィッシュ MEDUZOT/JELLYFISH 2007年イスラエル/フランス制作 82分

あらすじ: 結婚式場で働くバティア(サラ・アドラー)は恋人と別れたばかりで、その痛手から立ち直れずにいる彼女を上司はしかり飛ばしてこき使う。彼女が海辺に座っていると、どこからともなく浮き輪を付けた少女が現れる。バティアはその女の子を警察に連れて行くが迷子の届け出ておらず、しかたなくしばらくの間その子を預かることにする。(シネマトゥデイ

2007年カンヌ国際映画祭最優秀新人監督賞を受賞。

監督は女性と男性の2人組です。

イスラエル映画って見るのは初めてかもしれません。

ハリウッドの起承転結のしっかりした映画に慣れていると、少々戸惑います。

でも描かれている内容は人間ドラマですし、シチュエーションも万国共通です。

瞬間すれ違う3組の話で構成されています。

● 人付き合いが下手で、恋人と別れたばかりのパティア
 母親は孤児のためのボランティアにいそしんでますが、娘の生活には無関心。
 ある日海辺で迷子の子供に出会います。

● 新婚のケレンとマイケル
 結婚パーティで足の骨を折ってしまい、カリブ海への新婚旅行へ出かけられなくなった2人。
 海辺のホテルで仕方なく過ごしますが、そこで独りスイートに泊まる女性と出会います。

● 老女マルカとフィリピン人ヘルパーのジョイ
 フィリピンから出稼ぎに来ているジョイはマルカの世話を頼まれますが、言葉が通じません。
 マルカは娘と上手くいかず、ジョイは国に残した子供を想っています。

国は違っても自分たちと同じような問題を抱えている人たち。

気持ちが通じ合ったり合わなかったり。

ファンタジ-な要素も入りながら、タイトルのクラゲがふわふわと波間を漂うように、

揺れる人間関係が描かれています。

日常の些細な、でも心に残るシーンを積み重ねて出来た物語でした。

ケレンがホテルで書く詩も美しかった。