『スラムドッグ$ミリオネア』 ただのサクセスストーリーでは終わらない
今年のオスカーで最多の賞を獲得した本作。
やっとこれだけはこちらでも公開してくれました。
スラムドッグ$ミリオネア SLUMDOG MILLIONAIRE 2008年米/英制作 120分 あらすじ: テレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、賞金を獲得したジャマール(デヴ・パテル)だったが、インドのスラム街で育った少年が正解を知るはずがないと不正を疑われ逮捕される。 ジャマールになぜこれほどの知識があり、この番組に出演するに至ったのか。警察の尋問によって、 真実が明らかになっていく。(シネマトゥデイ)
スラムで育ち教育も受けていないスラムドッグと呼ばれる生い立ちのジャマール。
学者でもなかなか辿り着けない最終問題まで、なぜ彼が進むことが出来たのか?
その問い(A~Dの4択です)から始まります。
いかさまと疑われて警察へ連行され、イルファン・カーン演じる警部に取り調べられます。
「その名にちなんで」の優しいお父さんは、この映画では拷問に電気を使ったりと容赦ないです。
そこでジャマールは自分が答えを知っていた理由と共に生い立ちを語り始めます。
前半は彼の生い立ちの壮絶さに、眉間に皺を寄せた状態で固まってました。
兄のサリムとのスラムの貧しい生活、宗教暴動で母を亡くし、拾われた相手は子供を使って商売をする奴ら。
なんとかそこから逃げ出した後らは、いろんなことをしながら生きていくわけですが、
ジャマールは残してきた初恋の女性ラティカを思い続けます。
ミステリーから始まり、社会派ドラマ、ラブストーリーへと駆け抜ける物語。
低予算と評判の本作ですけど、そんなこととても気にならない、
むしろ豪華なエンターテイメントと思える満足度でした。
イルファン・カーン以外の俳優さんも知らないのが逆に、リアルです。
最後の問題があの問題という、
ストーリーはちょっと出来すぎとも思えたりもするのですけど、
最後までハラハラさせられます。
インドの現代が感じられるパワーとダニー・ボイル監督のスピード感が上手くマッチしていました。
劇中の音楽も良いし、エンディングのダンスでそれまでの緊張がほどけるのがまた良かったです。