『グラン・トリノ』 イーストウッドという俳優の生き様

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クリント・イーストウッド、俳優引退作とも言われる本作。

それも納得の出来と内容!!!

今まで彼が演じてきたすべての役が、この映画の中で生きているように感じました。

      グラン・トリノ  GRAN TORINO   2008年 117分

あらすじ: 妻に先立たれ、息子たちとも疎遠な元軍人のウォルト(クリント・イーストウッド)は、自動車工の仕事を引退して以来単調な生活を送っていた。
そんなある日、愛車グラン・トリノが盗まれそうになったことをきっかけに、
アジア系移民の少年タオ(ビー・ヴァン)と知り合う。
やがて二人の間に芽生えた友情は、それぞれの人生を大きく変えていく。(シネマトゥデイ

妻の葬儀だというのに、ダーティハリーばりに苦虫を噛み潰した表情で孫を睨みつけている老人。

神父にも横柄で無礼な態度をとる彼に息子達でさえ、50年代に取り残されていると陰口を叩く。

妻なきあと愛犬デイジーと愛車グラン・トリノのみがパートナーの偏屈な老人。

隣家にはモン族というアジア系少数民族の一家が越してきて暮らしていた。

その一家の少年タオを同族のギャングから助けたことから交流が始まり、

人種差別主義者であった彼を徐々に変えていく。


この映画がオスカー候補にならなかったのがなんとなくわかる気がします。

なんとなくですよ!ヾ(;´▽`Aアセアセ

この映画はイーストウッド主演でないとここまで良い映画にはならなかった気がします。

イーストウッド演じるウォルトは、50年間フォードの自動車工として勤め上げたブルーカラー


そのモーガンさんでも、この映画は違う気がします。

今までイーストウッドが演じてきた、頑固で偏屈で正義感があり弱い物を見過ごせない主人公が、

そのまま年をとって現代のアメリカ中西部に住んでいるかの様でした。


朝鮮戦争従軍の経験を持ち、家にはアメリカ国旗を掲げ、周囲に移民が多いことを苦々しく思っているウォルト。

そんな彼の隣りに越してきたのが、ベトナム戦争時にアメリカに味方したために祖国を追われたモン族の一家。

アジア系である彼らを見る度に、朝鮮戦争で自分がしたことを思い出される皮肉な現実。

自分にとって敵であった彼らが、実の息子達より自分のことを理解していることに気づいた時、

彼の人生は変わってきます。


生と死がテーマでしょうか。

青二才の神父も彼を変えた要因でもありますね。

ちゃんと笑いの部分もあり、イタリア系理髪師のジョン・キャロル・リンチとの掛け合いは笑わせてくれます。

彼は『悲しみが乾くまで』でも良い味出してました。

タオもスーも神父もほとんど無名の役者さん。

シンプルな題名も、粗い感じのする展開も、やはりイーストウッドの映画でした。