戦いの中の静寂 『ハート・ロッカー』
THE HURT LOCKER 2008年 131分
あらすじ: 2004年夏、イラク・バグダッド郊外。アメリカ軍爆発物処理班・ブラボー中隊のリーダーに、ウィリアム・ジェームズ二等軍曹(ジェレミー・レナー)が就任する。まるで死への恐怖などないかのように遂行されるジェームズの爆発物処理の様子に、仲間のサンボーン軍曹(アンソニー・マッキー)らは不安を抱くようになり……。
131分の長さを感じさせない映画でした。
爆発物処理班の3人の様子を中心に描かれているわけですが、
淡々と話が進む中で、この3人がどうなってしまうのかわからず、
戦争ものというよりサスペンスを見ている気分でした。
戦争の話というのは、
どんなにひどい現状を見てもどうしても実感がわきにくい部分があります。
爆弾によって自分自身や自分たちの町を破壊してまで米兵を殺したいテロリストの気持ちも、
そんな日常に慣れきっている住民の気持ちも理解しがたいものがあります。
そんな中でひたすら爆発物を処理する3人
その極度の緊張感に押しつぶされる者
その緊張感の中でしか生きられない者
キャサリン・ビグロー監督は、余計なものを一切排除しあくまでもリアルに、感情面も抑えた演出で描いてます。
アカデミー主演男優賞にノミネートされたジェレミー・レナーが
いろんな思いを持った主人公を上手く演じてます。
戦争というと動の印象が強いのですが、
戦いの中の静を感じた映画でしたね。