『灼熱の魂』 憎しみの連鎖を断ち切ることが出来たのか
これもまた、衝撃のラストでしたね~(;-_-) =3 フゥ
INCENDIES 2010年カナダ/フランス 131分
あらすじ:中東系カナダ人女性ナワル・マルワンが亡くなり、公証人から遺された双子の姉弟ジャンヌとシモンに遺言が伝えられた。それは、父親と兄を見つけ出し、それぞれに宛てた母からの手紙を渡してほしいというもの。死んだと思い込んでいた父ばかりか、存在すら知らなかった兄がいることに当惑するジャンヌとシモン。それでもジャンヌは遺言に従い、中東にある母の祖国へと旅立つのだったが…。 (allcinemaより)
劇作家ワジディ・ムアワッドの同名戯曲の映画化。
原作者自身、レバノン内戦を逃れ、フランス亡命を経て、カナダに移住した方だそうですが、
レバノン女性活動家スーハ・ベチャラの実体験を盛り込んで書かれているようです。
映画で国名は出ませんがレバノン内戦当時の話なので、歴史を知ってる方が理解しやすいですね。
カナダで暮らす家族の母親が突然亡くなり、双子の娘ジャンヌと息子シモンに遺言状が公開される。
変わり者だった母の遺言で、ジャンヌには父親を見つけて渡す手紙が託され、
シモンには兄を見つけて渡す手紙が託された。
生前に父親は戦争で死んだと聞かされ、兄のことなど一言も聞いていない2人は戸惑う。
それでもジャンヌは遺言に従い、母が通った大学から故郷の村へと向かう。
冒頭、髪の毛を剃られる少年達、1人の少年の踵、そして顔のアップ。
次の場面では、母の遺言状が明かされ、
母ナワルの回想シーンとなります。
1970年、違う宗教を信仰している相手と恋に落ち身ごもるが、
村ではそれはタブーで相手は殺される。ナワルは出産後子供をおいて村を出るよう言い渡される。
街へ出て大学へ通っていたナワルは5年後、戦争前の混乱にまぎれて息子を探しに戻るが、
息子が居たはずの孤児院は爆撃されていた。
母ナワルの回想シーンと、娘ジャンヌが母の過去を追うシーンが交互に展開します。
シーンの変わり目には場所や人の名前がタイトルの様に出るのですが、
最初はどちらが母でどちらが娘か混乱します。
ジャンヌに吊られて、シモンもようやく兄を探し始め、
わかったのは驚愕の事実でした。
冒頭のシーンが結末の伏線になってます(見終わってから、また見返しました^^;)
宗教対立と戦争に翻弄されたナワルの激動の半生。
目の前で恋人を殺され、子供を奪われ、内戦に苦しめられ、
人並み外れた精神力でカナダに辿りつき、生き延びてきたけれど、
真実を悟った時、その衝撃から死を招いてしまいます。
双子に託した真実とは?
彼女は本当に憎しみの連鎖を断ち切ることが出来たのか?
「一緒にいることが大事」という遺書の内容に、愛情の深さと後悔の念が感じられます。
双子にとって真実は必要だったのか?知らない方が良かったのか?
すべて見る者に委ねられます。