『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』 現代アメリカの抱える移民問題をサスペンスを絡めて描いています
この映画は普通の刑事ものだと思っていて気軽に見始めたのですが、
移民問題を扱ったシリアスな話でした。
CROSSING OVER 2009年 113分
あらすじ:ロサンジェルスでICEの捜査官として働くマックスは、密入国や不法就労者の取り締りに当たりながらも彼らにしばしば同情的で、同僚からも呆れられるほど誠実な男。そんなある日、メキシコ人女性ミレヤが不法就労者の一斉摘発で捕まり、アメリカ生まれの幼い息子ホアンを残して強制退去に。それに心を痛めたマックスは、ホアンを捜し出してミレヤの実家まで送り届けるが…。女優を目指すオーストラリア出身のクレアは、グリーンカードの判定官コールと出会い、ある提案を持ちかけられ…。バングラデシュ出身の高校生タズリマは、9.11についての発言が問題視されICEとFBIの強制捜査を受けてしまい…。ある日、マックスの相棒でイラン出身の捜査官ハミードの妹ザーラの死体が発見される。独自に捜査を進めるマックスは、やがて思いも寄らぬ事実に突き当たるが…。 (allcinemaより)
移民の国であるアメリカは、90年代までは積極的に移民の受け入れをしてきましたが、
ヒスパニック系が増え続けることが段々問題となってきました。
現在では不法移民の数は1200万人と言われています。
9.11以降不法移民の摘発が厳しくなり、その摘発方法・選別方法などが描かれています。
ICE捜査官マックスをとおして、数組の話が絡み合う群像劇。
●一斉摘発で捕まったメキシコ人女性ミレヤ、知人に預けている息子を助けて欲しいとマックスに頼み、
強制退去となる。
●グリーンカード取得の為にラヴィであると嘘を付くミュージシャンのギャヴィン。
●もうすぐ帰化が認められる中国人一家。
●両親の帰化がもうすぐ認められるマックスの相棒でイラン出身のハミードなど。
マックスにハリソン・フォード、
グリーンカード判定官のコールにレイ・リオッタ、彼の妻で移民の弁護士デニスにアシュレイ・ジャッド
ギャヴィンに『アップサイドダウン 重力の恋人』のジム・スタージェス、
不法滞在の取り締まりがそれほど厳しくなかった時代にアメリカへやってきて、
長年滞在し子供も出来て生活の基盤が出来てしまっている。
幼い頃に両親に連れてこられた子は不法移民、
自国へ帰っても知り合いもなく言葉も話せない。
そういった子供でも追い立てられる現状、なにかが狂ってしまっているように思えます。
それぞれの家族の立場や状況をマックスの眼をとおして描いていて、
現状がわかると共に、やりきれない気持ちにもなりました。
群像的な前半から1つの殺人事件を解決してのクライマックス。
シリアスな話ですが見応えは十分です。