『ミュンヘン』 これもまた負の連鎖


久しぶりに『ミュンヘン』再見。
劇場公開当時に観たときはエリック・バナくらいしかキャストを知らなかったので、いつか再見しなければと思っていました。

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MUNICH 2005年 164分

あらすじ:
1972年9月5日未明、ミュンヘン・オリンピック開催中、武装したパレスチナのテロリスト集団“黒い九月”がイスラエルの選手村を襲撃、最終的に人質となったイスラエル選手団の11名全員が犠牲となる悲劇が起きた。これを受けてイスラエル政府は犠牲者数と同じ11名のパレスチナ幹部の暗殺を決定、諜報機関モサド”の精鋭5人による暗殺チームを秘密裏に組織する。チームのリーダーに抜擢されたアヴナーは祖国と愛する家族のため、車輌のスペシャリスト、スティーヴ、後処理専門のカール、爆弾製造のロバート、文書偽造を務めるハンスの4人の仲間と共に、ヨーロッパ中に点在するターゲットを確実に仕留めるべく冷酷な任務の遂行にあたるのだが…。(allcinemaより)


初見の時はミュンヘン・オリンピック事件についても全く知らず、ストーリーに付いていくのが精一杯だった気がします。
1972年のミュンヘン・オリンピック事件と、その後のイスラエル諜報特務庁(モサッド)による”黒い九月”に対する報復作戦を描かれています。
作戦を率いたアヴナーを中心に、実在した暗殺チームの報復の過程がリアルです。

”黒い九月”のメンバーを突き止め、一人づつ暗殺していく。暗殺のスペシャリストではないアヴナーたちが、苦労しながら仕留めていくところがリアルです。
最初はヨーロッパだけの作戦だったはずが、中東の作戦にも参加。その結果、チームが逆に狙われる様になり、今度はアヴナーのメンバーが一人づつ殺されていき、追いつめられるアヴナー。

暗殺チームのリーダー、アヴナーにエリック・バナ、彼のチームメンバー、スティーブにダニエル・クレイグ、爆弾担当ロバートに『アメリ』のマシュー・カソヴィッツ、掃除屋カールにキアラン・ハインズ、文書偽造のハンスにハンス・ジシュラー
情報屋ルイにマチュー・アマルリック、他にジェフリー・ラッシュ、モーリッツ・ブライトブライなど。
監督はスティーヴン・スピルバーグ

最初は躊躇しながらも祖国のためと任務を引き受け、戸惑いながらの殺しも次第に慣れていくアヴナーたち。暗殺を続けるうちに、殺しても引き継ぐものが出る限りきりがないことに気づきます。段々と人が信じられなくなり精神的に追いつめられるアヴナーの様子は鬼気迫る迫力です。
回想シーンが度々挟まれ、ミュンヘン・オリンピックで11人がどのように犠牲になったのかが、少しづつ明らかになります。テロリストに抵抗し銃で頬を撃ち抜かれたレスリングのコーチ、モシェ・ワインバーグを、実の息子であるグリ・ワインバーグが演じています。
ラストシーンに2001年の米同時テロで崩壊した世界貿易センタービルがCGで再現され挿入されています。一つの悲劇を描こうと思ったきっかけが、もう一つの悲劇からだというのが、未だに負の連鎖は続いていることが、成長していない人間が情けないです。