『ソハの地下水道』『善き人』


第2次世界大戦中の話2作品

ソハの地下水道

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IN DARKNESS 2011年独/ポーランド 143分

あらすじ:1943年、ナチス占領下のポーランド。下水修理の仕事をしているソハは、ナチスの迫害を恐れて地下水道に隠れようとするユダヤ人に手を貸し、代わりに金銭の見返りを要求する。地下水道を知り尽くしたソハは、彼らの隠れ場所を手配し、定期的に食料を調達して過酷な潜伏生活をサポートしていく。しかし子供も多く、次第にナチスの厳しい追及をかわすことが困難になる。自分の妻子や若い相棒にも危険が迫り、一度は手を引こうとするソハだったが…。(allcinemaより)


2011年度のアカデミー外国語映画賞ノミネート作品。
地下水道ユダヤ人を匿った実在の人物を映画化したヒューマン・ドラマ。
太陽と月に背いて』『秘密の花園』のアグニェシュカ・ホランド監督作品。

邦題は下水修理の仕事をしているソハが、自分が熟知している下水にユダヤ人を14ヶ月もの間匿ったことから。最初は金目当てでしたが、いつしか彼らを見捨てることが出来なくなり、自分の命の危険を顧みず守り抜きました。

映画の長いのは気にならない方なんですが、この映画はなかなかしんどかったですね。ホロコーストの話ですしね。ソハは口が悪く相手の弱みにつけ込んでぼったくり、ユダヤ人同士でも諍いばかり。狭い下水に隠れることができる人数は限られていて、選別から漏れた人たちは、見つかって捕まるか、そのまま亡くなるか。タレ込みや手入れもある中、陽が当たらず臭くて鼠がいる不衛生な場所で14ヶ月。見ているだけで辛いです。
その中の救いは、いつしか彼らを見捨てられなくなったソハの献身と、家族を危険にさらすことに反対していたソハの奥さんも理解してくれるようになったこと。最後にクレジットされるソハのその後もなかなかシビアです。





善き人

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GOOD  2008年英/独 96分

あらすじ:1930年代、ナチス台頭のドイツ。ベルリンの大学で文学を教えるジョン・ハルダーは、家族思いの善良で平凡な男。ところがある日、安楽死をテーマにした彼の小説がヒトラーに気に入られ、渋々ながらも入党せざるを得なくなる。しかしジョンには、モーリスというユダヤ人の親友がいた。生き延びるためのやむを得ない選択ながら、モーリスへの後ろめたさに苛まれるジョン。やがて、ユダヤ人への弾圧が激しくなる中、ジョンはモーリスの国外脱出を手助けしようとするが…。(allcinemaより)



英国の劇作家、C・P・テイラーの舞台劇を映画化。
日本公開は2012年だったので最近の映画かと思えば、製作は2008年でした。

善良で平凡な大学教授が、著書がヒトラーに気に入られてしまったばかりに、人生を狂わせていく話。

大学教授のジョンにヴィゴ・モーテンセン、こんな教授なら真面目に授業受けます!
親友でユダヤ人のモーリスにジェイソン・アイザックス、他はマーク・ストロングしか知りません。監督はヴィセンテ・アモリン

ジョンが本当に善い人。仕事をして帰り、ピアノばかり弾いている妻の代わりに家事をして、母の介護までしています。教え子のアンが現れてから状況が変化し、アンに言い寄られて拒めず、ナチスから仕事を与えられても拒めず、拒否していたナチス入党もさせられます。親友のモーリスを助けたいと思いながらも、なかなか実行できず、優しいけれど優柔不断であった彼は、結局自分が選択してしまった状況に苦しみ、最後には自分を見失ってしまいます。アンと出会ってからはずっと見失っていたのかもしれませんが。