『セッション』 エゴと狂気の戦い


今年のアカデミー賞を賑わせた『セッション』ようやく公開されてやっと観ました。
批評家さんたちにやたら人気があったので、とても気になっていました。

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WHIPLASH  2014年 107分

あらすじ:偉大なジャズドラマーを夢見て全米屈指の名門、シェイファー音楽院に入学したニーマン。ある日、フレッチャー教授の目に止まり、彼のバンドにスカウトされる。そこで成功すれば、偉大な音楽家になるという夢は叶ったも同然。自信と期待を胸に練習に参加したニーマンだったが、そんな彼を待っていたのは、わずかなテンポのずれも許さないフレッチャーの狂気のレッスンだった。それでも頂点を目指すためと、罵声や理不尽な仕打ちに耐え、フレッチャーのイジメのごとき指導に必死で食らいついていくニーマンだったが…。(allcinemaより)



本年アカデミー賞5部門ノミネート、助演男優賞、音響賞、編集賞受賞。
デミアン・チャゼル監督自身が高校時代、競争の激しいジャズバンドに所属し、ひどいシゴキによってジャズ・ドラマーの道を挫折した経験を基にして作った映画だそうです。

名門シェイファー音楽院でドラムの演奏に明け暮れるニーマン、友達も彼女もいない彼の夢はプロのジャズドラマーになること。有名なフレッチャー教授から彼のバンドにスカウトされ有頂天になったにも束の間、地獄のシゴキの日々が待っていた。

フレッチャーにJ・K・シモンズ、TVドラマ「OZ」で彼が演じた白人至上主義でネオナチのサディスティックなシリンガーを知っているので、今回の演技にはまったく違和感なし。緩急つけた演技で今年の賞レース総なめでしたね。
ニーマンに『ダイバージェント』『ファンタスティック・フォー』など最近出演作が続いているマイルズ・テイラー、一見大人しそうで内にはモンスターがいる役どころ。
他、ポール・ライザー、メリッサ・ブノワなど。
監督・脚本はデミアン・チャゼル

ストーリーはどう転んでいくのか展開がわからず、シゴキシーンは下手なホラーより怖かったですね。時々息するの忘れるほどの緊張感。
いじめの様なシゴキの先に待つラストシーン。ここに下克上とか和解、融合、戦いの後の握手の様な爽やかさを感じて、カタルシスを見出した方もいらっしゃるのだと思います。
しかし私にはそういう感情が起こらず、もやっとしたまま観終わってしまいました。
あれだけ賞やステージを重視していたにも関わらず、ステージ上でもプレッシャーを利用してより効果的にいじめをするフレッチャーにも、そんなフレッチャーに自分を認めさせることに取り憑かれ、最後に復讐を果たすニーマンにも好感が持てず、結局同じ穴のムジナがお互い同類だと認め合っただけに感じられたラストでした。
スカウトも来ているはずのステージで、自分たちのバトルで他の楽団員と観客が置いてきぼりにされているのが、なんとも(-_-;)でしたが、お互いに認め合った上で素晴らしい演奏で観客総立ちなんてラストだと、それほど印象に残らなかったのだろうとは思います。
ラストをどう理解したら良いのか、自分なりの感想ですが、映画自体はドキドキしながら展開を追えて面白かったのだと思いますよ。(^_^;)