『スポットライト 世紀のスクープ』 ジャーナリズム


こちら地方、シネコンでは上映してくれなかった『スポットライト 世紀のスクープ
シネマルナティックで観ました。やはり観ておいてよかった。
アカデミー賞作品賞脚本賞受賞も納得の面白さでした。

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SPOTLIGHT 2015年 128分

あらすじ:
2001年、夏。ボストンの地元新聞“ボストン・グローブ”の新任編集局長としてマイアミからやって来たマーティ・バロン。さっそく目玉になる記事の材料を物色し、神父による子どもへの性的虐待事件に着目すると、これを追跡調査する方針を打ち出す。しかしボストン・グローブの読者は半数以上がカトリック教徒。彼らの反発を招きかねないと古参幹部は難色を示すが、地元のしがらみと無縁で、なおかつユダヤ人のバロンは強気に押し切っていく。こうして、リーダーのウォルター“ロビー”ロビンソンを中心に特集記事欄《スポットライト》を担当する4人の記者たちが調査を開始する。そして地道な取材を積み重ね、次第に事件の背後に隠された巨大な疑惑の核心へと迫っていくが…。(allcinemaより)


実話ベースのお話。
2003年にピューリッツァー賞を受賞したボストン・グローブ紙の”スポットライト”チームによる、カトリック司祭の性的虐待事件に関する報道の顛末を描いています。

ダウト~あるカトリック学校で~』を思い出す、神父による児童への性的虐待
児童への性的虐待に対する欧米での刑が重いことは映画でもよく見かけますが、親交の深い人にとって神父は神の代理人であり、子供にとっては逆らえない相手に強要されることで、将来に深く傷を残すトラウマとなるのも深刻です。

カトリックに疎い我々日本人には深刻さが伝わり辛いところもありますが、私自身はベネディクト・カンバーバッチの友人のピアニスト、ジェームズ・ローズ氏が自身のドキュメンタリー番組の中で、子供時代に体育教師に性的虐待を受けていたことを告白し、治療により立ち直ったはずが、彼の子供が彼が襲われた年齢に成長していくにつれ、またトラウマが甦ってしまったという告白を聞き、どれほど深い傷なのかを少しは感じることができた気がします。

話が逸れましたが、映画の方は虐待について焦点を当てているのではなく、虐待の事実を知りながらその事実を隠蔽した教会のシステムを暴くことに立ち向かった記者たちの粘りと熱意を描いています。

ボストン・グローブ紙のスポットライトチームのチーフ、ロビーにマイケル・キートン、どんどん良い役が来て、それに応えられるあたり見ていても嬉しいです♪
記者マイクにマーク・ラファロ、ハルクだったりレスリングの選手だったり、いろんな役で大活躍。マットにブライアン・ダーシ-・ジェームズ、ベンには最近はハワード・スタークでお馴染みのジョン・スラッテリー、紅一点のサーシャにレイチェル・マクアダムズ、新しい編集局長バロンのリーヴ・シュレイバーは、穏やかで物静かな役を初めて見るので新鮮でした。
ガラベディアン弁護士役のスタンリー・トゥッチも安定の上手さだし、声だけ出演のリチャード・ジェンキンスも重要な役どころ。
監督は『扉をたたく人』『靴職人と魔法のミシン』のトム・マッカーシー

記者たちでさえ最初は大きな問題と捉えていなかったのが、調べていくうちにことの深刻さを認識し地道に調査を進めていきます。
地元の事件のため、知人や友人などいろんなところからの圧力にも屈せず、粘りづよく調査を進めていくところがスリリングでした。
派手さはないけれど、しっかりとした演技と脚本で、最近見た作品の中では見応えのある1本でした。
マスコミの方々も、ジャーナリズムについてこの映画をご覧になって考え直された方がいいのでは?( 。・_・)ジッ