貧しくてもたくましく人生賛歌 『シチリア!シチリア!』
ジュゼッペ・トルナトーレ監督の人生も投影されている自伝的ともいわれる作品。
原題のバーリャは監督の故郷であるバゲーリアのシチリア語の呼び方だそうです。
BAARIA 2009年伊/仏 151分
あらすじ:シチリアの田舎町バーリア。貧しい牛飼い一家の次男に生まれたペッピーノは、幼い頃から大人たちに交じって懸命に働きながらも、楽しい思い出の詰まった少年時代を過ごす。やがて第二次大戦を経て町にも平和が訪れた頃、たくましい青年に成長したペッピーノは、美しい女性マンニーナと恋に落ちる。しかし、貧しいペッピーノとの結婚にマンニーナの両親は大反対。ついに2人は駆け落ちという手段でお互いの愛を貫き通すのだった。そんな中、理想を胸に政治の世界へと踏み出すペッピーノだったが…。 (allcinemaより)
トルナトーレ監督作はそれほど多くないけれど、大体がシチリアを舞台に撮られているので、
この明るい乾いた街の風景を見ると、トルナトーレだな~と思ってしまう(^_^;)
今回も故郷シチリアの小さな町を舞台に、1930年代から80年代までの一家族3世代のお話
コマを回して遊んでいる少年ピエトロが煙草を買ってくるように言いつけられ、
早くお使いを済ませて遊びに戻りたい彼は、猛スピードで街を走り抜ける。
そのうち身体がふ~っと浮かび上がり、彼の父親ペッピーノの時代へと時間が遡り、
授業中居眠りしてしまったペッピーノ、夢の中で彼の半生が始まる。
読み書きが出来るのが珍しい時代、貧しいながら教養はあった父親に育てられたペッピーノ。
ファシスト政権から第2次世界大戦、国土再編成やマフィアなどの激動の時代の中で、
ペッピーノと家族を中心に描かれていく。
ペッピーノという名はジュゼッペの愛称だそうですが、
生れからするとピエトロの方が監督世代ですね。
ピエトロが映画に魅入られるシーンもあるので、自伝的というのも頷けます。
『ニュー・シネマ・パラダイス』や『マレーナ』なんかもそうだけれど、
大きなテーマに向かってっていうのではなく、小さなエピソードの積み重ね。
エピソードの一つ一つに温かみが感じられます。
151分と長めだけれど、飽きることは無いですね。
ただ、ここぞ!って盛り上がりもない気はします(^_^;)
ほとんど知らない俳優さんなので、誰が誰だかわからなくなるのが難点(・。・;
モニカ・ベルッチがワンシーンだけ出てますよ!
音楽はもちろんエンニオ・モリコーネ
時代背景を分かっておくほうが、理解しやすいと思います。
ラスト、目覚めたペッピーノが街へ出るとそこは現代。
街を駆け抜けている間に、お使いから戻ったピエトロへ
時空を超えた旅なのに、ほとんど変わらないバーリャの街並み
シチリアの美しい風景も楽しめます!