『告発のとき』 ポール・ハギスが描く人間の多面

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思い出したように塗りつぶし。

2003年に実際に起きた事件を基に、『クラッシュ』のポール・ハギスが映画化し、

トミー・リー・ジョーンズが昨年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた作品です。

   告発のとき  IN THE VALLEY OF ELAH   2007年 121分

あらすじ: 退役軍人のハンク・ディアフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)は、イラクから帰還してくるはずの息子マイク(ジョナサン・タッカー)が脱走したという知らせを受ける。息子を探すために現地へ向かい、地元警察のサンダース刑事(シャーリーズ・セロン)と捜索を開始。真実が明るみに出るとともに、ハンクは知らなかった息子の素顔を知ることに……。(シネマトゥデイ

トミー・リー演じるハンクは元軍人で、2人の息子も軍隊に入っている軍人一家。

イラクから帰還したはずの次男のマイクが脱走したという知らせを軍から受けたハンクは、

息子の行動が信じられず、妻(スーザン・サランドン)を家に残し現地に向い直接自分が探すことに。

幼い息子が居るサンダース刑事(シャーリーズ・セロン)は必死に息子を探すハンクの熱意にほだされ

捜査の手伝いをするのですが、そんなときにマイクの死体が見つかります。

息子の死に納得がいかないハンクは、捜査を続け最後には真実を突き止めます。


戦争はいつの時代でもムゴイものですけど、

ハンクが軍人だったころとマイクが行ったイラクでは確実に環境が変わっています。

イラクへ行った兵士にはドラッグ検査はしないというのを聞いて驚くハンク。

息子の携帯の動画を見ながら、自分の知らなかった息子の一面を見て愕然とするハンクを、

ノミネートにふさわしい演技で、トミー・リーが演じています。

ひとり残され夫を信じて待つ妻にスーザン・サランドン

シャーリーズ・セロンもすっかり中堅女優になって、地味ながら堅い演技ですね。

ジェイソン・パトリック、ジョッシュ・ブローリン、ジェームズ・ブランコ、フランシス・フィッシャーと脇も堅いですね。


イラク帰還兵のPTSD(心的外傷後ストレス障害)に触れている今作

ポール・ハギス監督は『クラッシュ』でも、善でも悪でもない微妙な人物心理を描いていましたが、

この映画でも感じました。

それだけにやるせない気分にもなるのですが、人間の強さと弱さを同時に感じる映画でした。

アメリカ国旗が、印象的に使われています。